【授業紹介】高2言葉と表現・やさしさは翻訳できるか? ロールプレイで考える「やさしい日本語」
青翔開智では2023年度より、学校設定科目として「言葉と表現」という授業を行っています。この授業は「言葉に関する理論や観点を理解し、それを基に言葉や言語作品を解釈し、他者に向けて表現することで、言葉や文化を知的に楽しみ、多様な人々に共感する力を養うこと」を目標としています。
前編(こちら)で紹介した留学生インタビューでは、病院や市役所で使われる専門的な言葉、メニューやお金の単位、漢字やオノマトペなど、教科書には載りにくい「伝わらない日本語」の存在が浮き彫りになりました。
後編では、その声をもとに生徒たちがロールプレイづくりに取り組みました。題材は「コンビニでの会計」「銀行口座の開設」「バスの乗り降り」「道案内」「地震時の行動」「騒音注意」など多岐にわたり、各グループはまず“伝わらなかった失敗例”を脚本化し、その後に“成功例”を提示しました。例えば「ご本人様確認証」を「パスポートなど」と具体的に言い換える、「袋はご入用ですか?」を「袋は要りますか?」に直す、曖昧な「行けたら行く」を「予定があるから行けない。ごめんね」と明確に表現するといった工夫が見られました。また声のトーンや指差しなど非言語的な工夫も加え、最終的には映像作品として完成させました。
授業の最終回には「やさしい日本語ツーリズム研究会」代表の吉開章さんをゲストにお招きし、講評をいただきました。生徒からは「敬語よりも短く分かりやすい言葉が安心につながる」「外国人=英語という先入観がなくなった」といった感想が寄せられ、学びが実社会での態度や意識の変化へとつながっている様子がうかがえました。
今後も「言葉と表現」では、多様な人々に共感する第一歩として、言語や文化に根ざしたコミュニケーションの方法を探究していきます。お忙しい中、生徒たちに丁寧なフィードバックをくださった吉開さん、誠にありがとうございました!
(担当:石田<英語科>・岡田<国語科>)
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