中3国語・名作ビブリオバトル学年決勝

中学校1年生〜高校1年生の国語の授業では、毎年恒例となっている知的書評合戦「ビブリオバトル」を行なっています。5分間で本を紹介しあい、一番読みたいと思った本に投票。最も票が集まったものを「チャンプ本」とします。

中学校3年生は今年、「ためになるビブリオバトル」というテーマで、紹介する本は古今東西の「いわゆる名作」と呼ばれる文学作品から選ぶこととしました。日本の近代文学を始め、海外の古典を翻訳したものなど、タイトルは知っているけどちょっとしたきっかけがないと普段はなかなか手に取らないような本が勢ぞろい。

また、【「本」と「自分の生き方」、さらに今の社会にあるできごとやものごととの関連性について触れている】ことが目標のひとつに掲げられ、生徒たちは唸りながら発表原稿づくりや練習に取り組んでいました。

各クラスを勝ち上がった生徒4名で学年決勝を行い、出揃ったのは『一房の葡萄』『ロビンソン・クルーソー』『怪人二十面相』『オペラ座の怪人』の4冊。
「許し」について考え、まちがったことをしてしまった人に対する過剰な叩きや報復がなされた時事問題に対する疑問を話してくれた生徒。
無人島に流れ着き社会と断絶してしまった主人公と、コロナによって移動や人と会うことが突然できなくなってしまった私たちの社会を比較し、ものごとの良い面に目を向けることを話してくれた生徒など、それぞれが巧みな語りで聴衆を惹き込んでくれました。2分間のディスカッションタイムもたくさんの質問があがり、本と紹介してくれた生徒の考え方への理解が深まりました。
偶然にも「怪人小説」対決にもなったのですが、超人的な能力を持ちながらも憎めない人間味もある「怪人」の魅力をいろいろなたとえをまじえて語ってくれた『オペラ座の怪人』に軍配が上がり、チャンプ本に!


中学校3年生、少し背伸びして出会う本の幅が広がったビブリオバトルになりました。「好きな本」ではなく近代文学を始めとした「名作」をお題としたことで、難しさがあったかなと思っていましたが、実施後のアンケートには予想以上に好意的な感想が多数ありました。「こんなにも面白いと思わなかった。もっと読みたい!」「普段読む日本語と少し違って面白かった」といったものから、「読んでいると賢くなれた気がしてすき」「知らない単語や難しい表現、当たり前のように省略されている時代背景が多くて難しかった」といった等身大のコメントもありました。

名作との出会いが、自分をとりまく世界に新たな視点をもつきっかけになってくれたらと願っています。