【授業紹介】高2言葉と表現・「心」ってどう訳す?

今年度より新しく、高校2年生の選択授業として『言葉と表現』という学校設定科目を設置しました。(担当:石田・辻井・三浦・吉田)
授業は国語科と英語科の教員が担当し、「言葉に関する理論や観点を理解し、それを元に言葉や言語作品について解釈し、他者に向けて表現することで、言葉や文化を知的に楽しみ、多様な人々に共感する力を養うこと」を目標としています。

最初の単元は、単語レベルでの言語間の差異について考えていきました。
今回は、英語では「heart / mind / spirit」などに訳される「心」という言葉にフォーカスしました。

授業のアイデアのベースは、『ことばの教育を問いなおす──国語・英語の現在と未来』鳥飼 玖美子,苅谷夏子,苅谷剛彦(著),筑摩書房 2019年 に掲載されていたものです。

まず、「認知意味論」という言語学の理論についてレクチャーを受けた後、ジャパンナレッジSchool上の辞典を使って「心」の英訳を調べました。

そして、2週目には、日本語の「心」と日本人がその訳として使用することの多い「heart」を比べて、それぞれの意味の重なりを思考ツールのベン図を使ってまとめました。
「心の方が内側で感じることに関する意味が多い」
「heartは客観的にみてわかる「心臓」「中心」という意味がある」
など、この時間になると生徒たちの言語感覚も研ぎ澄まされ、教員が思ってもみなかったリアクションが。
最後には、谷川俊太郎さんの『こころの色』という詩について、「こころ」を含む行を英語に翻訳する作業へ。
「こころ」の部分を何故その英訳にしたのかについても深掘りして、理由を記述しました。
今後も、『言葉と表現』の授業では、あえて英語の知識を使いながら日本語を見つめ直したり、日本語の細やかな表現を考えたりすることを通して、表現に対する感性を磨いていきます。