【授業紹介】中1理科・雑草を使ったいけばな=「生け雑草」

「雑草という名の草はない」
今NHK「らんまん」で注目されている植物学者、牧野富太郎さんの言葉です。
中学校1年生の理科の授業では、「植物を愛でるとはどういうことか」という本質的な問いについて考えるため、「雑草を使っていけばな」=「生け雑草」を実施しました。 (担当:松永)
この単元では、「雑草に目を向けることで、これまで見つけられなかった身近な小さな美しさに意識を向けられるようになってほしい。美しさに気づくために、植物をよく観察して、植物を愛でる感覚を皆で共有したい」という表向けのテーマと、「ニッチなものにスポットライトを当てることで、新しい価値基準(ものさし)を社会に提案したい」という裏テーマをもって実施しました。
まず、『生け雑草』の著者、小林南水子さんへのオンラインインタビューを実施し、365日雑草を生け続けていると何が見えてくるのか」語ってもらいました。
次に、鳥取県立博物館の清末先生と袋川周辺のFWに行き、「植物の違いは生育環境の違いが影響している」ことを身をもって体感しました。
次に、妙円寺の岡崎さんに、生花を使ったいけばなを通じて、「いけばなにおける美しさとはどのようなものか」を教えていただきました。
その後、「美しいのは生花だったからなのか。雑草で、雑草だからこその美しさを表現することはできるのか」という問いをもって、袋川に植物採集に行き、採集した植物を使っていけばなをする取り組みを実施しました。
また、袋川周辺の植物だけでなく、鳥取県東部森林組合さんにいただいたスギとヒノキの端材やシダ植物も用いて実施しました。
鳥取に住む子どもたちにとって、スギやヒノキは身近にある植物ですが普段はあまり意識を向けていません。
そこで、鳥取県林業試験場の桐林さんに裸子植物が私たちの生活にどのように利用されているのかを教えてもらいました。
単元終了後の生徒の振り返りでは、
「今回の生け雑草を通して植物(雑草)に少し興味を持つことができました。今までは、あまり雑草や植物についてあまり関心がなかったけれどたまに外を歩いていたりする時に「あ、この雑草、このまえ、生け雑草で使った!」などと雑草によく気づくようになりました。 生け雑草楽しかったです。」
「その植物のことを知った上で、作品にどう活かすのかを考えること出来て、良かったです。」
などの意見が多くあり、1つの作品をつくるという過程によって、より細かくその草花の特徴を観察する目を養うことができたのではないかと思います。
この授業を経て、子どもたちが今までよりも少しでも日常の小さな美しさに目を向けることができるようになってくれたらいいなと思っています。

▼担当:松永の【登壇情報】
8/16(水)Learn by Creation(ラーン・バイ・クリエイション)にて理科・松永がワークショップ「科学者の時間 ガチャドタ実験室」を共催します
https://seishokaichi.jp/news/post-12911/