FTA主催「平田オリザ氏ワークショップ&講演会(教職員・保護者対象)」を開催しました

2024年2月4日(日)、兵庫県立芸術文化観光専門職大学の学長であり、著名な劇作家・演出家である平田オリザ氏を学校にお招きし、演劇の手法を取り入れたコミュニケーション教育のワークショップと、「新しい学校観・学力観」をテーマとした講演会を開催しました。

午前中は平田氏が開発した演劇の手法を取り入れたコミュニケーション教育のプログラムを体験するワークショップを行いました。
以下の4つの内容で、さまざまなゲームや動きを通して演劇と教育の関連性を学びました。

①自分と相手が同じ言葉を使っていても、それぞれの心の中にあるイメージによって受け止め方が違うことをわかりやすく感じられるゲームで「言葉で伝える」ことの難しさを学ぶ。
②ダンスや演劇、プロスポーツでも実際に取り入れられている運動で、1人よりも2人、2人よりも3人の方がパフォーマンスが上がる、複数人で工夫すると簡単に出来る、という体験から協働性について考える。
③コミュニケーション教育と言っても「コミュニケーション能力をつけてあげる」ことではなく、コミュニケーション能力はすでにみんな持っている。それをどんな場面でも引き出せるようにするのがコミュニケーション教育である。
④演劇は舞台上と観客の「イメージの共有」であり、良い授業もまたいかに上手く「イメージの共有」ができるかが大事。イメージの共有が上手くできるようになるためには「心と体と言葉と他者」それぞれがどう結びついているかをよく観察することが必要。

≪ワークショップ参加者のコメント≫
・始まる前までは緊張していましたが、始まった途端に楽しく活動することができました。ファシリテートについて、体験しながら学ぶことがでました。貴重なお時間ありがとうございました!
・著名な平田オリザさんにお会いでき、間近で空間を共にできたことに感動しております。ワークショップでは、身をもって体験したことについての裏付け話がとてもわかりやすくためになりました。
・プログラムの背景の説明に「なるほど」と感じました。例えば、「元々は自己主張の強い欧米向けプログラムなので日本人に対して行う場合は。。。」、など。

講師を囲んだ懇親昼食会の後、午後からは「大学入試改革から見る新しい学校観・新しい学力観」と題して、以下のポイントを中心に詳しくお話しいただきました。

①学習指導要領に「主体的・対話的で新しい学び」「学力の3要素」が取り入れられたことなどにより、生徒達が“何をどのように誰と学ぶか”を主眼に置いた教育へと学びの在り方が変容してきた。
②今後の大学入試は受験準備をしづらい「身体的文化資本」の能力が求められる試験に変わっていく。これは従来の地道に努力する学習だけでは身に付けることができず、幼少期から感覚的に体に落とし込むことが大事になる。
③SES(家庭の社会経済的背景)と学力には相関があると言われるが、集中力など数字で表すことのできない「非認知スキル」を上げればその相関に関係なく学力が向上することが判明している。
④複雑に多様化していく今後の社会において「自ら学んで考え、他者との関係のなかで現時点の結論を導き出す力」が大事であり、それらの能力を身に着ける演劇的コミュニケーション教育はそのカギとなる。

講演会には教職員のほか保護者35名が参加し、2時間の予定時間をオーバーするほど多くの質疑応答が活発に行われました。平田オリザ先生は多くの事例を織り交ぜながら、難しい言葉もわかりやすく噛み砕いて面白くお話ししてくださいました。

≪講演会参加者のコメント≫
・今回の講演を通じて、書籍を読むだけでは得られない深い理解と洞察を得ることができました。特に、直接お話を伺うことで、心に深く響くものがありました。
・今後、「主体的・対話的・深い学び」という言葉に触れるたびに、「主体的・対話的・愛がある学び」という新しい視点で捉え、それを実践していきたいです。貴重な時間を割いていただき、本当にありがとうございました。
・共感とチームづくりについてもっと深く学びたいと思いました。ありがとうございました!
・3年前くらいに講演を聞いてすぐにファンになりました。うちの子供たちには、隣の子に教えると頭よくなるよと話しました。周りに親切にできる子が増えてほしいです。
・本当に聴かせて頂けて良かった、この機会を与えられたことに感謝です。
・ずっともやもやしていた学校教育での「?」が全部スッキリ言語化され、且つやはりこの考え方でいいんだ!と確信が持てました。
・我が子にも自分が携わっている生徒達にも、愛(共感力)のある学びをもっと体験させてあげたいなと思いました。
・講演会は、大学受験のためではなく、人間を育てるためにとても重要なお話をいくつも聞くことができました。そして、本にサインしていただきありがとうございました。宝物が増えました!家宝にします^ ^
・自分を振り返る良い機会になりました。ありがとうございました。
・大変有意義な時間を過ごさせてもらいました、ありがとうございました。お話全てが心にしみました、親の考え方はもちろん子どもに接する態度 内容も意識していこうと思いました。非認知能力があがるような子どもになってくれたらな と思っています。
・大学入試という切り口から、これから求められる人材あるいはその人材を活かす社会のあり方について考えさせられました。

平田オリザ先生、貴重なお時間をありがとうございました!