【授業紹介】高2基礎研究・花王株式会社様との連携授業「泡の秘密 ~「キレイ」をつくる泡の力を学ぼう~」

高校2年生の学校設定科目として開講している『基礎研究(教科: 理科)』では、今年度は年間を通じて花王株式会社さんと連携し、授業を展開します。連携授業を通じて、以下の3点の目的の達成を狙っています。

 (1) 高校理科の内容とキャリアとの関連を知り、現在と未来を繋ぐ
 (2) 探究の授業 (高2生は、個別テーマによる課題研究を実施) で発揮できるような探究スキルを高める
 (3) 企業で研究職を勤める方のリアルなキャリアデザインを参考に、自身のキャリアデザインをソウゾウ (想像・創造) する

7月10日(木)の連携授業(第3回目)では、花王株式会社で研究職を務める千口様・細川様をお招きし、「泡の秘密 〜『キレイ』をつくる泡の力を学ぼう〜」をテーマにご講演いただきました。

今回の授業では、私たちが日常生活で使用するボディウォッシュや洗顔料の役割や仕組みを学びました。界面活性剤の役割、洗浄と泡との関係、さらには皮膚科学の視点から皮膚洗浄剤の働きを知ることで、日常の ”洗う” という行為と科学をリンクさせました。また授業の後半では、グループを作って実際に洗浄剤づくりに挑戦し、研究とモノづくりを体験しました。

授業の前半では、”洗う” の仕組みを知るために、簡易的な実験を行いました。ラー油をステンレス板に2〜3滴乗せ、ラー油の面を上にした状態でビーカー内にそっと沈め、洗剤を2〜3滴垂らしました。直後は何も変化が起こりませんでしたが、しばらく観察していると、ラー油がステンレス板から離れていきました。生徒からはとても驚きながら、実験結果を目の当たりにしていました。

さらに、千口様作成の動画を視聴し、黄色く着色した皮脂汚れが泡だけで落ちていく様子を確認しました。背中など手の届きにくい部分でも、泡の力でしっかり洗浄できることを学びました。

後半はグループに分かれて、洗浄剤づくりに挑戦しました。特徴の異なる2種類のアニオン界面活性剤から一つを選択し、両性界面活性剤など泡質向上成分を自由に配合。完成した洗浄剤を手に取り、泡立ちやしっとり感・さっぱり感を比較しながら、互いに評価し合いました。互いのグループの洗浄剤にも触れ合うことで、「ここのグループは泡がよく残る!」といった発見の声も上がり、成分配合の違いを肌で感じ取っていました。

質疑応答では、『泡ハンドソープはどのようにして泡を作り出しているのか?』との質問がありました。その質問に対して、講師のお二人からは、「ポンプ内部で空気を取り込み泡状にする仕組みがあり、商品ごとに最適化されたポンプを使用しているため、詰め替え時は対応するポンプを使うのがおすすめです」とのお答えがあり、ポンプ構造を研究する専門部署の存在も紹介されました。

学校で学ぶ化学と日常で起きている現象が結び付き、化学の面白さを体感できる授業となりました。今後、科学的な視点で世の中を見るためのアンテナが立ったでしょうか。ボディウォッシュや洗顔料を自分で選ぶ際も、商品に関わる技術や含まれる成分にも興味をもつことができるきっかけとなるような、素敵な授業となりました。花王株式会社の千口様・細川様、ありがとうございました。