【授業紹介】中1理科・鳥取県立博物館 出前授業「鳥取県の岩石」「マグマの冷え方による鉱物結晶の違い」を実施しました

8月26日(火)および29日(金)の2日間、中学校1年生の理科の授業にて、鳥取県立博物館の田邉佳紀学芸員をお招きし、出前授業を実施しました。

現在中学校1年生は、火山や岩石を中心とした地球分野の学習を進めています。今回の出前授業はその一環として、実際の岩石標本に触れたり、鳥取県に存在する岩石を学んだりすることで、身近な事象と科学を結びつけて理解を深めることを目的としています。

8月26日の授業当日、生徒が実験室(物理・地学室)に入ると、そこには普段は見られない多種多様な岩石・鉱物の標本がずらりと並んでいました。これらはすべて、鳥取県立博物館からこの日のためにお借りした本格的な博物標本です。

授業では、田邉学芸員より、「そもそも石とは何か?」「石はどのようにしてできるのか?」「岩石を構成する“鉱物”とは?」というようなテーマで解説をいただきました。

生徒たちは、実際に標本を見ながら真剣に話を聞いており、校内でありながらも“博物館にいるような学び”を体感している様子でした。

解説後は自由見学の時間が設けられ、多くの生徒が田邉学芸員のまわりに集まり質問をしていました。「この岩石はどんな風にできるんですか?」「化石って、どこから見つかるんですか?」といった具体的な質問が相次ぎました。特に、「鳥取市国府町宮ノ下では魚類の化石が見つかる」という話に対しては、「自分の住んでいるところの近くに、そんな場所があったなんて!」と驚きの声も聞かれました。

また授業冒頭では、「学芸員とはどのような仕事か?」という説明もあり、将来の進路を考えるうえでも貴重な時間となりました。

8月29日(金)の出前授業では、「マグマの冷え方によって、鉱物の結晶化に違いが生じるのか?」という問いを立て、実験と観察を通じた探究を行いました。

具体的には、希少糖であるエリスリトールを溶解させ、冷却条件を変えながら再結晶化を観察するモデル実験を実施。冷やし方の違いによって結晶の大きさや形に変化があるのか、生徒自身が目で確かめました。
中には、結晶化の様子をiPadでタイムラプス撮影し、後から再生して確認する生徒の姿も見られ、熱心な観察が印象的でした。

さらにこの日は、岩石の「薄片標本」を偏光板で観察する体験も行いました。偏光板を通して観察することで、鉱物の種類によって異なる色や輝きを確認でき、岩石の構造の違いを視覚的に学ぶことができました。鮮やかに色づく鉱物結晶を見て、感嘆の声が上がっていました。

なお、今回お借りした岩石・鉱物の博物標本は、出前授業後も「出張博物館」として1週間にわたり実験室に展示され、他学年の生徒にも自由に見学ができるように開放されました。鉱物に関心の高い高校生が訪れて観察する姿も見られ、学年を越えた理科学習の広がりが感じられる機会となりました。
(担当:理科/兼重)