【授業紹介】高2基礎研究/花王株式会社様との連携授業「炭酸ってどんな効果があるの? ~湯船入浴の大切さと共に考えてみよう~」
高校2年生の学校設定科目として開講している『基礎研究 (教科: 理科)』では、今年度は年間を通じて花王株式会社さんと連携し、授業を展開します。連携授業を通じて、以下の3点の目的の達成を狙っています。
(1) 高校理科の内容とキャリアとの関連を知り、現在と未来を繋ぐ
(2) 探究の授業 (高2生は、個別テーマによる課題研究を実施) で発揮できるような探究スキルを高める
(3) 企業で研究職を勤める方のリアルなキャリアデザインを参考に、自身のキャリアデザインをソウゾウ (想像・創造) する
連携授業の第4回目となる8月28日 (木)の授業では、花王株式会社において研究職を勤める浜嵜 様と大山 様から『炭酸ってどんな効果があるの? ~湯船入浴の大切さと共に考えてみよう~』という「生活と科学」に関わるテーマで講演をしていただきました。
前半の浜嵜 様による授業では、炭酸飲料や炭酸泉など、私たちの生活に身近な存在である「炭酸」について学びを深めました。入浴剤を例として炭酸ガスについて学び、その効果を簡易的な実験を通して確認しました。
後半の大山 様による授業では、商品開発事例について触れ、商品開発に携わる研究員のキャリア紹介のほか、事前課題で行った「商品開発研究員のお仕事体験」として新商品アイデアワークの共有会に取り組みました。
前半の授業では、まず「炭酸ガス」がどんなものなのかを理解するために、花王 様の商品である入浴剤をぬるま湯につけて発泡する様子を観察しました。
シュワーという心地よい音を立てながらぬるま湯が綺麗な色に染まり、同時に理科室が入浴剤の匂いに包まれ、『めっちゃいい匂いがする!』といった声が聞こえました。
その後、炭酸水素ナトリウムや酒石酸等を用いて人工炭酸泉を調製し、被験者の生徒の片腕を人工炭酸泉に、もう片方の腕を単なる水道水を温めたぬるま湯に浸けることで、炭酸の効果・効能の違いについて学びました。
『どっちの腕の方がより温かく感じる?』という浜嵜 様の質問に対して、被験者の生徒からは『炭酸のほうが温かく感じる!』という回答が得られ、2分間という短時間であっても血行促進効果が得られるということが実験的に証明されました。よりこの効果を高めるためには「高濃度化」かつ「高浸透化」を行う必要があり、いずれの技術においても花王 様の特許となっているとのことでした。
後半の授業では大山 様により、商品開発事例を元に、商品が作られるまでの過程を丁寧に説明していただきました。
最後には、
① 教科書に書いてあることが研究 (実社会) で応用されているため、普段の授業から想像を膨らませて調べることの重要性,
② クラスメイトとの普段の会話で得られる「自分の知らないこと」や「自分と異なる考え方」も貴重な財産となり得ること
③ やり切ったことに関しては夢が叶うことがある (自分の経験のすべてが糧になる) こと
など、高校生の生徒たちに向けた素敵なメッセージをいただきました。
質疑応答の時間では、『錠剤の入浴剤と液体状の入浴剤の違いは何かありますか?』といった質問が出てきました。その質問に対して、『液体状のものは保湿成分が入っているのでスキンケア効果が得られます。一方、粉状のものであれば無機塩類、すなわち温泉成分が入っているので温泉気分が味わえたり、錠剤のものは炭酸ガスによる発泡を楽しみながら血行促進効果が得られたりと、それぞれ異なる特徴を持っています!』と回答されました。
受講者全員に花王 様の入浴剤をプレゼントしていただきましたが、好みの入浴剤をゲットするために、最後はじゃんけん大会を行いました!
キャリア教育のパートでは、「将来どんな自分になりたいか」を考えるきっかけとなり、進路選択の一助となりました。
また「身近な商品にはどんな化学が隠れているのか?」「商品を使用した際には、ヒトのからだにどのような作用があるのか?」など、その一例を学ぶことで、化学や生物への関心が高まるような、素敵な授業となりました。
基礎研究の授業では1年間、花王株式会社さんと連携し、高校での学びと将来のキャリアデザインの架け橋になるような授業を作っていきたいと思います。
(担当:内田<理科>)


















