【授業紹介】高1現代の国語 新書レポート共有フェス〜読むこと書くこと、対話の喜び〜
2月25日(水)高校1年生の「現代の国語」の授業で、「新書レポート共有フェス(成果物共有会)」を実施しました。
新書レポート(2000字程度)は例年高校1年生の3学期に実施されている探究スキルラーニングです。
高校2年生での課題研究に向けて、個人で選んだテーマに関する情報収集を経験すること。
高校3年生の1万字の探究論文執筆に向けて、まとまった分量のレポートに挑戦すること。
この2点が主な目的です。
今年度の授業者は、生徒が自分で選んだ新書を1冊読み通すこと、その中から自分の注目するトピックや問題を設定することを特に大切にして授業を企画しました。
トピックを設定した生徒たちは、新聞記事データベースを利用して、自分の得た知識が実社会のどのような問題に現れてくるのかを調べます。このような新聞記事の検索スキルは、週1回のペースで社会科が朝の時間に実施している「朝ニュース」の取り組みによって培われています。
こうして高校1年生は、新書を通して学問に入門し、新聞記事を通して自分の視点と社会のつながりを発見し、この過程を筋道立ててレポートにまとめました。
新書レポートで新聞記事を活用するのは今年初の試みですが、興味深いレポートがたくさん提出されました。
たとえば、人間が日常生活で起こる物事の原因を無意識に自分または他人に求める「原因帰属」のクセと、自己責任論によって貧困状態にある人が然るべき支援を受けられなくなるという社会問題を結びつけたレポート。心理学と社会学を横断して実社会の課題を捉える良作でした。
たとえば、文字に関する新書で得た、漢字からひらがなへの「省略・簡略化(ダイエット)」の概念を、現代のSNSに見られる短文・省略語に関する新聞記事と結びつけたレポート。略語は単なる日本語の乱れではなく、言語に本質的に備わる、社会に適応していく「生存戦略」なのだと論じていました。
「本を読むこと自体が苦手」「どう書けばいいのかわからない」と最初は戸惑っていた生徒たち。それでも、粘り強い取り組みでレポートを完成させると、新たな知識獲得への純粋な喜びや、構成を考えて論理を構築する達成感など、ポジティブな感想を多く聞けました。
これらの力作、担当教員だけが読むのはもったいない!
ということで開催されたのが「新書レポート共有フェス」です。
生徒全員分のレポートを匿名で印刷し、本稿和室の壁・机上に配置。生徒たちはクラスメイトのレポートを読み、正方形のポストイットにコメントを書き、ギフトとして貼っていきます。コメントのルールとして、形式や体裁面の指摘ではなく、心が動いたことや感じた問いなど、お互いの探究の根本にある力を耕し合うような内容を書くことを定めました。
フェスの観客(生徒)はパフォーマンス(レポート)を黙々と読み、コメントを紡いでいきます。物理的には静かな空間であるのに、書き手の生徒、読み手の生徒の思考や心の動きが躍動しているのを感じられる、不思議な場でした。
授業時間が終わっても「全部読んでコメントしたい」「すごく楽しい」と休憩時間ギリギリまで残る生徒も多数いました。
その好評さに、一日限りの展示の予定を1週間の展示に延長。先日の青開学会で課題研究の発表を行った高校2年生を中心に、他の学年の生徒もたくさんコメントを高校1年生に贈ってくれました。
フェスの出演を終えたレポートたちは、ポストイットでカラフルになって書き手の元へ返却されます。まじまじと、じっくりと、過去の自分が書いたレポートと、他の生徒がくれた言葉を読む高校1年生たちからは喜びのオーラが漂っていました。
「こんなに書いてもらえて嬉しい」
「めっちゃ褒めてもらえた!」
「あ〜確かに」
書き手として、読み手に反応をもらえる手応えを得られたのではないでしょうか。
高校1年生は、いよいよ個人テーマによる課題研究に向けて走り始めたところ。今回レポートで扱ったトピックが実は自分の関心とは違う、そんな気づきも糧となります。
研究・ジャーナリズム、そして学友。様々な他者と関わって、自分の好きなもの・やりたいことを見つけ、大切に探究していってほしいです。
(授業担当:国語科 辻井)









