【1学期授業紹介】<高2生物基礎/生物>DNA抽出
青翔開智も夏休み。今日から各教科の1学期の授業をご紹介していきます♪
高校2年生 自然探究コースの「生物基礎 / 生物」では、6月の探究スキルラーニングで3つの科目目標*の達成に向け、生物の細胞 (ブロッコリー) から遺伝子の本体である DNA を抽出し、観察・考察しました。
中学生までの既習事項として、生命の連続性では、遺伝子の本体が DNA であること、 遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることについて学習しています。
また、中学校の教科書にはブロッコリーから抽出した DNA の写真が掲載されているものがあります。
生徒たちは「DNA を到底肉眼では見られないもの」という印象を持ちやすいですが、よく冷えたエタノールによって沈殿した DNA は、肉眼で見たり触ったりすることができ、物質として DNA を認識できます。
多様なすべての生物は、共通した物質である DNA が遺伝情報を担っているという、「共通性と多様性」を実際に感じることができる実験です。
DNA は核に多く含まれるため、少量の材料から DNA を目に見えるくらいの収量を得るためには、十分な数の核を必要とします。
核は同じ生物であれば大きさはあまり変わらないため、細胞が小さいほうが材料中の核の割合が高くなります。
さらに、植物は DNA 抽出の妨げになりやすいタンパク質が少ないため、簡易的な方法でも再現性が高いと言えます。
今回は、細胞が小さく入手も容易なブロッコリーを材料として用いました。
今回の探究スキルラーニングでは、(i) エタノール (常温) と (ii) 水 (常温) における溶解性の違いを比較し、DNA がエタノールに溶けにくいということに気付かせました。
さらに、(iii) 冷蔵庫でよく冷やしたエタノールを用い、(i) と (iii) を比較することで、事前に化学の学習で学んだ「溶解度」に着眼させ、溶解度を下げると DNA がよく沈殿することに気付かせました。
(i) において、予想以上に DNA の析出が見られないグループがあり、その考察として「常温では DNA 分解酵素が働いてしまう」、「乳棒でかき混ぜる際、ゆっくりかき混ぜない場合、DNA を守るように結合して いるヒストン (タンパク質) が離れるため、DNA が切断される可能性がある」といった、深い考察も見られました。
機会を見計らい、トリのレバーや魚 (タラなど) の白子を題材にした「動物の DNA 抽出」を扱うことも検討しています。
動物の細胞にはタンパク質が多いため、タンパク質分解酵素 (コンタクトレンズ用タンパク除去剤で代用可能) を用い、また、DNA 分解酵素が存在するため、加熱して熱変性させ、その後 DNA 沈殿のためろ液を冷やすなどの工夫を考察させてみたいと考えています。
(担当:理科・内田)
*高校2年生 自然探究コースの「生物基礎 / 生物」では、科目目標として以下の3点を掲げています。
(1) 日常生活や社会との関連を図りながら生物や生物現象への関心を高める
(2) 目的意識をもって観察, 実験などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てる
(3) 生物学の基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な見方や考え方を養う