【1学期授業紹介】<高1言語文化>短歌の分析と歌物語創作
夏休み期間、各教科の1学期の授業をご紹介しています♪
青翔開智の国語科では「言葉を紡ぐ 世界を編む」を全学年の授業目標に掲げています。
テキストtextの語源はラテン語のtextus(織られたもの、織物)にあります。
「言葉による見方・考え方」を育む国語科の教室は、ことばの糸を紡ぎ、文章を織りなし、織り糸をほどく術を学ぶ場とも言えるのではないでしょうか。
今回高校1年生は、6月末から7月初旬にかけて、短歌の分析と歌物語創作を行い、限られた文字数の中に構築される世界の奥深さを学びました。
第1回目の授業で、生徒は現代の作品を中心に短歌50首を一気に読み、直感で心に響いた短歌を選びます。
日常的な題材で共感を誘う作品を好む生徒もいれば、少々難解で、しかし強烈な個性を放つ作品に魅せられる生徒もいました。
慣れない短歌を大量に摂取したのち、第2回目では複数の短歌に共通する表現技法を発見し、「よい短歌」を詠む方法を帰納的に導き出す作業を行います。
「林檎」「レモン」「トースト」など五感を刺激する食べ物がキーワードである、体言止めを用いることで一首全体を最後に総括している、埋め込まれたせりふによって話しかけられているような感覚を読み手が覚えるなど、様々な技法と効果が生徒から提案されました。
そして第3回・第4回で、好きな短歌から歌物語を書くという創作活動を行いました。
これは、既習の単元『伊勢物語』「芥川」で学んだ、歌物語というジャンルを実践する試みです。
「いつ、どこで、誰が、どのような折に(どのように心が動いたため)」これらを要件とし、主人公が思いを歌に結実させるまでの過程を想像し、物語に仕上げました。
以上の活動で生徒たちは、なんとなく「エモい」で済ませがちな文学作品をロジカルに鑑賞するための方法・論理を思考できたのではないでしょうか。
こののち、短歌の実作にもチャレンジしてもらいました。
筆者が担当するクラスでは、七五調ないし五七調の標語に言葉を足す、「楽しみは~する時」というテンプレートに当てはめる*、現代短歌の一部を穴埋めする言葉を考える、などのウォーミングアップを経て短歌創作に臨みました。
詩と散文を行き来して心情・物語を編む力を養い、あわよくばさらに昔の短歌、和歌を鑑賞する際の導きになるような時間を生徒たちが過ごせたのならば幸いです。
(担当:国語科・辻井)
*これら短歌創作の練習方法は栗木京子『短歌をつくろう』(岩波ジュニア新書、2010年)を参照。